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法律コラム

遺言相続

遺言書は最強のラブレター

人が亡くなったとき、残された人達に送る最後のメッセージ、それが遺言書です。

相続紛争を数多く取り扱ってきた弁護士である私の経験からして遺言書は相続紛争を未然に防止する最強のラブレターであると確信を持っています。

以下、そのように考える理由を述べます。

遺言書の年間作成数と作成割合

公証人連合会の発表によると令和5年度には、約12万件の遺言公正証書が作成されています。
令和5年度の死亡数は、約160万人ですので単純計算すると遺言書を残して亡くなる方は全体の10%にも満たないことになります。
実際、日本財団の2021年の調査では、遺言書作成率は約10%と言われています。

そうすると、人が亡くなった場合、約90%の割合で遺言書が存在しないこととなります。
遺言書がない場合、相続手続はどうなるのでしょうか。

遺言書がない場合の相続手続

遺言書がない場合、相続手続は複雑になります。
遺言書がある場合との対比のため、以下簡潔にご説明します。

法律の原則

遺言書がない場合、民法の法定相続分に従って分割するのが原則になります。
したがって、夫が亡くなり、妻と子供がいる場合は、妻が半分、子が半分ということになります。
子が複数人いる場合、子は半分の相続分を頭数で割ることになります。

これが基本的な考え方になります。

遺産分割協議

もっとも、上記の法定相続分が法律上決まっているからといって、それだけで遺産分割がすんなりいくかというと、決してそんなことはありません。

法定相続分はあくまで各自の相続割合についての定めですので、具体的に誰がどの財産を取得するか(家、株、預貯金、車、貴金属など)について法定相続人間で協議をして、全員の合意のもとに、遺産分割を行う必要があります。

しかし、遺産分割は、たった一人でも分割方法に異議を唱える場合、成立しませんorz
そうすると、遺産の金額は多かろうが少なかろうが、反対者が一人でもいる場合、遺産分割は成立しないことになります。

実際、流動資産である預貯金がふんだんに残されている場合はまだ調整がしやすいですが、遺産が実家の不動産とわずかな預貯金だけである場合などは、生まれ育った実家を残す派と売却して現金を分けたい派などが対立して話し合いがまとまらないケースはよく目にします。

遺産分割が成立しないとどうなるの?

遺産分割が成立しないと、当然ながら遺産をわけることができません。
そのため、預貯金を引き出すこともできませんし、不動産の名義を移転することもできません。

そうなるといつまでも相続紛争が解決しないということになりますので、法律の手続にしたがって、弁護士に依頼するなどして遺産分割調停に移行します。それでも話し合いがまとまらない場合は、裁判官に判断してもらう審判となります。

また、相続人の一人が遺産を使いこんでいるような場合は、民事訴訟を提起し、取り返すなどする必要が出てきます。

私の経験上、遺産分割調停が全員の満足のいくようなパーフェクトな解決になるということはまずありません。

「なんで長年親のために頑張ってきた私がこれだけしかもらえないの?」

「兄貴は生前たくさんもらってたのに、遺産もたくさんもらってずるい!」

「あいつは遺産を使い込んでいるのにそれが考慮されないのはおかしい!」

などと言った不満は残るものですし、相続手続を期に、親子関係、兄弟関係、親戚関係に決定的なヒビが入って、根性の別れとなるケースも多々見てきました。

また、解決まで数年以上を要するケースも少なくなく、その間相続手続きが終わらないストレスを抱え続けることになります。

では、そのような紛争を未然に防止するにはどうしたらいいのでしょうか。

遺言書は最強のラブレター

私が考える最強の紛争防止策は、遺言書の他にありません。
その理由は、以下のとおりです。

具体的な相続方法を記載できる

民法の規定には、あくまで「相続割合」しか記載されていません。
しかし、遺言書には「Aさんに預貯金を渡す」、「Bさんに自宅不動産を渡す」などと具体的な取得財産まで記載することができます。
そうすると、その通りに分割するほかありませんので、遺産分割協議をする必要がなく、揉めようがありません。

遺言執行者を選任できる

遺言書の内容を実現するためには、預貯金を解約したり、不動産の登記を移転したり、車の名義を変更したり、相続税の支払いをしなければならなかったりと、法律や税務の知識・経験に乏しい一般の方には慣れない手続きばかりです。

そのため、予め遺言書の中で、弁護士等の専門家を指定し、遺言者が亡くなった後の手続を任せることができます。

これは、残された人たちにとってはかなり心強い制度になります。

予想される紛争に対応できる

とはいえ、特定の人に全ての遺産を贈るようなないようにすると、遺留分侵害額請求が発生し、後に紛争になる可能性があります。また、特定の相続人が多額の生前贈与を受けている場合は、遺言書があっても特別受益を争ってくる相続人が現れないとも限りません。

そのようなことを事前に弁護士等の専門家に相談して、対策を打っておくことが可能です。

遺留分相当額を相続させる内容にしておく、生前贈与を考慮した分割方法にしておくことで紛争を未然に予防することが可能です。

遺言書の内容を説明することができる

遺言書は、当然ながら遺言者が生きている間に作成できます。
そのため、遺言書の内容を相続人に公開して、なぜそのような分割を妥当とするのか、相続人に直接説明することができます。そうすると、相続人の納得感も全く違ってきます。

直接説明しなくても、遺言書の中に説明文を入れておくことでも対応できます。

残された人にメッセージを残すことができる

遺言書には、上記のような遺産の分割方法という遺産分割手続をスムーズにさせる機能があります。一般的には、これが遺言書の主要な機能と思われているでしょう。

もっとも、遺言書に遺産分割方法に関係にないことを記載してはいけないというルールはなく、付言事項として、遺言者の相続人に対する思いを記載することができます。

例えば、

「Cさんには長年、自宅で世話をしてもらって本当に嬉しかった。苦労を掛けたと思うけど心より感謝しています。あなたのお陰で幸せな人生でした。」

などと記載することもできます。

このラストメッセージは、想像以上に効力があります。
私の経験上、過去に、このラストメッセージが決め手となって紛争を予防できたケースがありました。
その事件は、兄弟間で紛争になりかけていたのですが、故人の残した遺言書のなかに「兄弟仲睦まじくお互いに助け合って生きて行ってください」という一文がありました。

私はこの一文を根拠に粘り強く各当事者を説得したところ、遺産調停に進まず、裁判外交渉で解決できたことがありました。しかも、相談からわずか数週間のスピード解決でした。

また、その兄弟は相続によって争族にならず、その後も仲睦まじく過ごしているそうです。

このように遺言書は意外と自由度が高く、遺言者のラストメッセージを残すことも可能です。

まとめ

以上のとおり、遺言書が最強の紛争防止策ということになります。

もっとも、遺言書と題する書面を残せば、それで万事解決かというと、そうではありません。

遺言書があるのに紛争になったというケースも多々あります。

次回は遺言書作成の意外な落とし穴に関する記事を書きたいと思います。

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