事案の概要
ご兄弟の長男様からのご相談でした。
兄弟間で遺産相続をめぐる争いが発生し、ご自身だけでは解決が困難な状況となり、ご相談に至りました。
この事案では、2通の遺言書が存在していました。
しかし、以下のような問題がありました。
- 1通目の遺言公正証書には、全ての遺産が記載されておらず、一部の遺産(不動産など)が漏れていました。
- 2通目の自筆証書遺言は、文字が非常に乱れており、正常な判断能力で作成されたものか疑わしい内容でした。
解決へのアプローチ
まず、遺言書については最新のものが優先されるのが原則です。
そのため、2通目の自筆証書遺言の有効性を徹底的に調査しました。
具体的には、被相続人が生前通院していた病院の医療記録を取得・精査しました。
その結果、2通目の遺言書作成時点より前に、被相続人が重度のアルツハイマー型認知症を発症していたことが判明しました。
この事実と証拠資料を相手方に提示したことで、2通目の遺言書には効力がないことについて、争いはなくなりました。
一方で、1通目の遺言公正証書には記載漏れの遺産があり、その中には時価総額1億円を超えるマンション1棟が含まれていました。
このマンションの分割方法をめぐり、当事者間の協議が難航したため、最終的には遺産分割調停を申し立てることとなりました。

成功への道
遺産分割調停は1年以上にわたり続きました。
特に、流動資産が乏しく、不動産の分け方をめぐって激しい対立が続きました。
最終的には、
- マンション1棟を当方が取得
- 他の相続人には家賃収入から代償金を支払う
という形で合意に至りました。
また、マンションの価値が大きいため、代償金の支払いは長期にわたることになりました。
さらに、空室によって支払いが困難になる可能性も考慮し、その際の対応策も調停条項に盛り込みました。
結果として、事件受任から解決まで約2年を要しましたが、最終的には円満な解決に至ることができました。
まとめ
この事案では、1通目の遺言書に遺産の脱漏という不備があり、2通目の遺言書は無効になるというかなり特殊な事案でした。
遺言書の作成に、相続事件に詳しい弁護士が関与していれば上記の紛争はほぼ間違いなく回避できていたと思います。
改めて遺言書の重要性を再認識させられた事案でした。